作文練習

何か書くと楽しい、かもしれない。

AIの意思決定に対する嫌悪感の理由

「AIは自我を持つか。」という問いに対して私は「わからない」と答える。チューリングテストが示すように、AIに自我があるように見えてもそれが本当の自我かどうかは判断できないからだ。理由は「自我」という言葉の曖昧さばかりではない。 AIがAIの概念を持…

Index: 怖い話と怒りの話に関する当ブログ記事まとめ

私は怖い話と怒りの話が好きなんだと、このブログを見直していてつくづく分かった。今後も書きたくなるだろうけれど何だか同じ事を書きそうだ。そこで一度リンクをまとめておく。 怖い話が大好きなのです (幽霊は形式)2022/1/30 怖い話が大好きなのです (…

犬とお爺さん

プードルを散歩させていたお爺さんに犬の歳を聞いたら、犬だけじゃなくご自身の歳も教えてくれた。八十四歳だそうだ。 「儂が子供の頃は立派なシェパードを飼っていてね。軍用犬に提供しろって言われたけれど、儂の母親はそれが忍びなくて犬と一緒に田舎に引…

夜のかけっこ

初老に差し掛かった中年のたるんだ身体を鍛え直すため、毎夜公園でストレッチと少しのジョギングを始めた。 ある日の夜、公園に行くと中学生くらいの男の子が六人くらいで遊んでいた。連休や夏休みなどでよく見られる光景だ。分別ある大人なら早く帰りなさい…

「語りえぬものを語る」 読書メモ(第13章、その2)

本書(参考1)はウィトゲンシュタインの研究者である野矢茂樹氏の著書だ。難しいので抜粋とメモを残しながら読みたい。抜粋といっても私の理解できた内容に文章を崩している。本記事は13章の註に関する。 以下、本文抜粋。 P224 【1.論理空間・無限・規…

「語りえぬものを語る」 読書メモ(第13章、その1)

本書(参考1)はウィトゲンシュタインの研究者である野矢茂樹氏の著書だ。難しいので抜粋とメモを残しながら読みたい。抜粋といっても私の理解の範囲で文章を崩している。本記事は13章に関する。 以下、本文抜粋。 P214【ザラザラした大地とツルツルした…

【読書感想文】 夕凪橋の狸(ゆうなぎばしのたぬき) 梶井基次郎

梶井基次郎はいいよ、と誰かに勧められたので短編集を買ってみた(参考1)。なるほど文章にキレがある。キレッキレだ。内容こそ陰鬱なものが多いが、読んでいて気持ちがいい。 「夕凪橋の狸」という短編は著者の子供時代の回想で、真ん中の弟と末の弟が夜遅…

怒りの話

聞いた話だ。 どうしようもなく忙しく、体か心のどちらが先に病むだろうかというところまでその人は追い詰められていた。上司に相談したが、「それはあなたが何とかすることだ」と一蹴され、その人は茫然とした。そしてその直後、凄まじい怒りが湧いてきたそ…

「語りえぬものを語る」 読書メモ(第12章、その2)

本書(参考1)はウィトゲンシュタインの研究者である野矢茂樹氏の著書だ。難しいので抜粋とメモを残しながら読みたい。抜粋といっても私の理解できた内容に文章を崩している。本記事は12章の注釈に関する。 以下、本文抜粋。 P2081、 行為空間と理由の空…

「語りえぬものを語る」 読書メモ(第12章、その1)

本書(参考1)はウィトゲンシュタインの研究者である野矢茂樹氏の著書だ。難しいので抜粋とメモを残しながら読みたい。抜粋といいながら、私の理解を反映しているので文章は崩れて読み難くなっているかもしれない。本記事は12章に関する。 以下、本文抜粋…

「語りえぬものを語る」 読書メモ(第11章、その2)

本書(参考1)はウィトゲンシュタインの研究者である野矢茂樹氏の著書だ。難しいので抜粋とメモを残しながら読みたい。本記事は11章の註に関する。 以下、本文抜粋。抜粋といってもかなり元の文章とは異なる。これが私の理解の限界だ。 P191 1、行為空…

「語りえぬものを語る」 読書メモ(第11章、その1)

本書(参考1)はウィトゲンシュタインの研究者である野矢茂樹氏の著書だ。難しいので抜粋とメモを残しながら読みたい。抜粋といっても私の理解の範囲で文章を変えている。本記事は11章に関する。 以下、本文抜粋。 P182 前章までの議論は思考可能な範囲を…

宗教的平等と世俗的平等

キリスト教や仏教の意味する平等と、一般に世俗で言われる平等はかなりの違いがある。 キリスト教は神に自分自身を捧げることを説く。信仰を持つ者は神の前ですべて平等であるとする。 仏陀は自分に執着しないことを説く。それが苦しみから脱する術であり、…

【読書感想文】 人間的、あまりに人間的Ⅰ (2)

ニーチェの「人間的、あまりに人間的Ⅰ」(参考1)はアフォリズム集(短文を集めたもの)だ。今回は五九四(P459 )の感想文を書いた。 以下、引用。 哲学の青二才、 或る哲学者の叡智をちょうどとり入れたばかりだと、人はまるで生まれ変わって大人物になっ…

「語りえぬものを語る」 読書メモ(第10章、その2)

本書(参考1)はウィトゲンシュタインの研究者である野矢茂樹氏の著書だ。難しいので抜粋とメモを残しながら読みたい。本記事は10章の註に関する。 以下、本文抜粋。 P1751、 ヒュームの帰納の懐疑とグルー 太陽は明日も昇る、蚊に刺されるとかゆくなる…

「語りえぬものを語る」 読書メモ(第10章、その1)

本書(参考1)はウィトゲンシュタインの研究者である野矢茂樹氏の著書だ。難しいので抜粋とメモを残しながら読みたい。本記事は10章に関する。本章はグルーとブリーンという思考実験に関する説明をもとに、デイヴィドソンへの反論がひとまず完了する。 以…

「語りえぬものを語る」 読書メモ(第9章、その2)

本書(参考1)はウィトゲンシュタインの研究者である野矢茂樹氏の著書だ。難しいので抜粋とメモを残しながら読みたい。本記事は9章の註に関する。 以下、本文抜粋。 P1501、 会話のなめらかさ 9章の会話のなめらかさとは、相手の発言を理解できるという…

「語りえぬものを語る」 読書メモ(第9章、その1)

本書(参考1)はウィトゲンシュタインの研究者である野矢茂樹氏の著書だ。難しいので抜粋とメモを残しながら読みたい。抜粋といいながら、私の理解した言葉に書き換えているので幾分かの誤りは含んでいるはずだ。分からなくなったら必ず本書に戻って読み直…

「語りえぬものを語る」 読書メモ(第8章、その2)

本書(参考1)はウィトゲンシュタインの研究者である野矢茂樹氏の著書だ。難しいので抜粋とメモを残しながら読みたい。本記事は8章の註である。 以下、本文からの抜粋。 P1321、 クワインにとっての概念枠 クワインにとって概念枠は理論であり命題の集合…

「語りえぬものを語る」 読書メモ(第8章、その1)

本書(参考1)はヴィトゲンシュタインの研究者である野矢茂樹氏の著書だ。難しいので抜粋とメモを残しながら読みたい。真理とか主張とか真偽とか絶対などの言葉の抵抗感はラッセルの哲学入門(参考2)を読んだことで幾分か薄らいでいるような気がする。つな…

「語りえぬものを語る」 読書メモ(第7章、その3)

本書(参考1)はヴィトゲンシュタインの研究者である野矢茂樹氏の著書だ。難しいので抜粋とメモを残しながら読みたい。本記事は7章の註(P112 ~P122)について抜粋する。 註は用語の曖昧さを排除するための解説だ。著者は後から読んでもよいとしているが…

「語りえぬものを語る」 読書メモ(第7章、その2)

本書(参考1)はウィトゲンシュタインの研究者である野矢茂樹氏の著書だ。難しいので抜粋とメモを残しながら読みたい。本記事は7章の後半(P108 ~P112)について抜粋する。ここから著者はデイヴィドソンへの反論を始める。反論のポイントは著者の考える「…

「語りえぬものを語る」 読書メモ(第7章、その1)

タイトルの書(参考1)はウィトゲンシュタインの研究者である野矢茂樹氏の著書だ。本記事は7章の前半部分(P102~P107)、デイヴィドソンの「異なる概念枠を考えることはできない」という主張の解説について抜粋する。 P102 デイヴィドソンの議論は「もし…

「語りえぬものを語る」 読書メモ(第6章)

タイトルの「語りえぬものを語る」(参考1)はヴィトゲンシュタインの研究者である野矢茂樹氏の著書だ。難しいので抜粋とメモを残しながら読みたい。 <私的メモ:本章のポイントは真理の絶対主義と相対主義についてだ。後半は概念について。真理が我々の持…

怖い話が大好きなのです (幽霊は形式)

死後の魂は認識できないので形而上のことである。 認識できないものを扱うには形式が必要だ。お墓を立てたり供養したりするのも死後の魂に関する形式だ。お墓や供養という形式には実体がある。しかし、形式に実体を与えるのはいつでも人間であり、そして死後…

ある種の優しさについて

結婚する前に、「配偶者に言えないもしもの事が起きるかもしれないので、少し自由になるお金を持っておいた方がよい」と考えたり言われたりした人は、少なからずいると思う。私も若い頃はそんなものかなと思っていたが、実際はそんな「もしも」は来ない。そ…

物語を面白くする三つの要素

面白い物語には暴力、エロティシズム、神秘の三つの要素が程良く見え隠れする。暴力は死を象徴し、エロティシズムは命を象徴し、神秘は死と命を統べる何かを象徴する。 三つのうち一つだけでも強く打ち出せば、物語は刺激的になる。しかし、それだけしか無い…

最近のテレビを見ていて

最近のテレビの戦争特集は、誰も彼もが実は戦争に反対していた立派な人だったという話が多くて何だか怖い。 近代以降においてはどんな戦争も一定割合の民衆の同意が無ければ始まることはない。過去、マスメディアはどうやって民衆の危機感をあおり、罪悪感を…

【漫画感想文】 ピンポン 松本大洋作

松本大洋の漫画「ピンポン」(参考1)は映画化やアニメ化もされた評価の高い作品だ。しかし評論の殆どがストーリーとキャラクターの魅力の説明に終始していることは残念でならない。勿論そこも素晴らしいのだが、私が目を奪われたのは絵だ。そこで今回は絵…

快と不快が基準になっている人達

快と不快が絶対的に自分自身の基準となっている人達がいる。不快感を覚えたとたんにそれまでの言葉を反故にする人達だ。自分の感覚は信じるが、言葉を信じていない人達だとも言える。そういう人達は一見して分かり難い。しかし今後どんどん増えていくだろう…