作文練習

何か書くと楽しい、かもしれない。

読書感想文

オセローに出てくるマニピュレータ(読書感想文)

マニピュレータとは自分の欲望や嫉妬のために他人を追い詰め、その心を支配しようとする者のことだ。最初は親密さを装って近付いて信用させ、次第に虚実を絡めた言動で獲物を追い込んでいく。恐ろしいことに、狡猾なマニピュレータから逃れるのは極めて難し…

【読書感想文】 夕凪橋の狸(ゆうなぎばしのたぬき) 梶井基次郎

梶井基次郎はいいよ、と誰かに勧められたので短編集を買ってみた(参考1)。なるほど文章にキレがある。キレッキレだ。内容こそ陰鬱なものが多いが、読んでいて気持ちがいい。 「夕凪橋の狸」という短編は著者の子供時代の回想で、真ん中の弟と末の弟が夜遅…

【読書感想文】 人間的、あまりに人間的Ⅰ (2)

ニーチェの「人間的、あまりに人間的Ⅰ」(参考1)はアフォリズム集(短文を集めたもの)だ。今回は五九四(P459 )の感想文を書いた。 以下、引用。 哲学の青二才、 或る哲学者の叡智をちょうどとり入れたばかりだと、人はまるで生まれ変わって大人物になっ…

【読書感想文】 人間的、あまりに人間的Ⅰ

ニーチェの「人間的、あまりに人間的Ⅰ」(参考1)はアフォリズム集(短文を集めたもの)なのでランダムに読んでいるところだ。今回は二二九(P250 )の感想文を書いた。 以下、引用。 束縛された精神はそれらが正しい、という。 第一に、永続する事柄はすべ…

オセロー シェイクスピア著 (読書感想文)

ラッセルの哲学入門(参考2)の12章「真と偽」の中で、シェイクスピアのオセローが例として挙げられていた。そこでオセローを読んでみた。 本書はページ数が二百ページちょっとと少なく、文字が大きい。そして戯曲なので、ページに文字がぎっしり詰まって…

<あいだ>を開く レンマの地平 (読書感想文)

本書は有名な「AはAではない。それゆえにAはAである。」という般若の思想から展開された、「Aでもなく且つ非Aでもない」と「Aであり且つ非Aである」というレンマと呼ばれる論理を軸に話が進んでいく。理解が難しい。著者は二項対立の限界を示すと同時に、二…

世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド (読書感想文)

カントは純粋理性批判の冒頭で「人間は理性が斥けることもできず、答えることもできない問題に悩まされる運命にある」と言っている(参考1 P13 )。「不死(魂の永遠)」はその「斥けることも答えることもできない問題」の一つである(参考1 P43)。 「不死…

人生がときめく片づけの魔法 近藤麻理恵著(読書感想文)

本書で大事なことは、物を残すか捨てるかを決めるためには手で直接触わって判断せよということだけだ。文章は易しく、あっという間に読める。読めるのだが。 いかにもインスタ映えしそうなタイトルと、読み易い文章に騙されてはいけない。 片づける時その手…

運命が見える女たち (読書感想文)

この小説は占い師を取材したドキュメンタリーという形をとっている。そして随分とエッジの効いた占い師達が出てくる。著者とは電話で話すだけだが、会ったこともない著者のことやその人間関係をどんどん当てていく。コールドリーディングング的なテクニック…