作文練習

何か書くと楽しい、かもしれない。

オセロー シェイクスピア著 (読書感想文)

 ラッセルの哲学入門(参考2)の12章「真と偽」の中で、シェイクスピアのオセローが例として挙げられていた。そこでオセローを読んでみた。

 

 本書はページ数が二百ページちょっとと少なく、文字が大きい。そして戯曲なので、ページに文字がぎっしり詰まっていない。これなら読めると思ってしまう。新潮文庫ありがとう(参考1)

 

 シェイクスピアは古典中の古典なので、あらゆる頭の良い人達が引用して難しい考察を行っている。ラッセル先生もその一人だ。だから私は覚悟してオセローを解読せねばならぬと思った。思ったのだが。

 

 いやあ、読んでびっくりした。かなり娯楽性の高いお話だった。こんなに面白いとは思ってもいなかった。シェイクスピア恐るべし。ダークな話なので面白く感じるかどうかは人それぞれだとしても、解説の人達はもうちょっと面白さを伝えても良いんじゃないだろうか。

 

 あらすじは簡単だ。オセロー将軍という優秀な軍人がいて、とても綺麗な女性デズデモーナと結婚した。オセローには副官のキャシオー、旗持ちのイアーゴ―という部下がいるが、イアーゴ―は優秀な自分が何故旗持ちをやらされているのかという不満を持っている。イアーゴ―はそこで奸計をめぐらせ、デズデモーナとキャシオーの不倫をでっちあげてオセローに信じさせるというお話だ。

 

 戯曲なので、イアーゴ―の心情やこれから行う悪だくみがセリフを使って丁寧に描写される。非常に前振りが親切で、よく利いている。読者はどきどきしながら次の展開を予想し、その上でその場面を迎えることが出来るのだ。そしてオセローはその計画にまんまと嵌って、とんでもない結末にまっしぐらに進んでいく。

 

 ドリフターズのコント「志村うしろ!」を思い出した。舞台のオセローに「オセローうしろ!」「そいつは嘘つきだぞ!」と教えたくなること間違いなしだ。

 

参考1 オセロー シェイクスピア著 福田恆存訳 新潮文庫 2021年3月 第七十刷
参考2 哲学入門 バートランド・ラッセル著、高村夏輝訳、ちくま学芸文庫、2018年、第二十刷