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哲学入門(バートランド・ラッセル著)12章 メモ(11)

 ラッセルの哲学入門(参考1)12章「真と偽」の、抜粋と読書メモの続きです。

 

P152、7行~P153、2行
 例をあげる。オセロは、「デズデモナはキャシオを愛している」という間違いを信じている。この信念はデスデモナのキャシオに対する「愛」という実際には存在しない単一の対象に関係するので成立しない。オセロは実際には存在しない対象とは何の関係も持てない。したがってオセロの信念が、そうした実際には存在しない対象に関係することから成り立つことはありえない。
 それとは別に「デズデモナがキャシオを愛している」という命題そのものを一つの対象として見做し、その命題との関係がオセロの信念だという考え方もできる。しかし「デズデモナがキャシオを愛している」という対象は存在しないので、この信念は成り立たない。
 (これらの例から分かるように)「信念は心と単一の対象との関係(のみ)から成る」という理論は間違いだ。


<読書メモ>
 オセロはシェイクスピア作の戯曲だ。参考までにあらすじを紹介する。
「オセロ将軍は美しい女性デズデモナと結婚した。オセロには副官のキャシオ、旗持ちのイアーゴ―という部下がいるが、イアーゴ―は旗持ちという役目に不満を持っている。そこでイアーゴ―は悪意から、ありもしないデズデモナとキャシオの不倫をでっちあげてオセロに信じさせる。」

 

 オセロはありもしない愛を信じている。それが真理だと思っている。オセロが信じていることは真ではなく偽である。だから真理には偽があることを認めねばならないし、真理は信念の性質である。オセロはオセロの思考だけで判断する限り、真か偽かを判定することはできない。真か偽かを判定するためには信念の外部の何かとの関係に依存せざるを得ない。

 

 こういうことなのかなあ。


参考1 哲学入門 バートランド・ラッセル著、高村夏輝訳、ちくま学芸文庫、2018年、第二十刷
参考2 http://www.gutenberg.org/files/5827/5827-h/5827-h.htm