哲学入門(バートランド・ラッセル著)12章 メモ(14)
ラッセルの哲学入門(参考1)12章「真と偽」の、抜粋と読書メモの続きです。今日の部分はよく分かりませんでしたが、理解したかもしれないところまで書きます。
P154、7行~P155、7行
判断を「心が、命題に含まれる対象すべてに対して別々に関わる関係」と捉えた方が偽の説明は容易だ。
オセロが「デズデモナはキャシオを愛している」と信じているとき、デズデモナ、愛すること、キャシオのそれぞれが、そこで成立している関係の項になっていなければならない。オセロもまた関係の項だから、四項関係が成立する。
四項関係とは、オセロとデズデモナとの関係と、オセロと愛することとの関係と、オセロとキャシオとの関係が同じだということではない。オセロが信じているのは、デズデモナ、愛すること、キャシオの三項すべてに一度に関わることである。つまり信じることが、オセロを加えた四項を縫い合わせている。オセロの信念は、これら四項を一つの複合的な全体としているのである。
したがって、信念が信じることや判断することであるなら、心は自分以外の複数のものに関係付けられ、しかもその関係は特定の時点で生じるものだ。
<読書メモ>
えええ~。なんでこれが偽の分かり易い説明になっているの?
P214、12章注釈(39)を読めば分かるのか?ということで、以下はその注釈の解読です。
記号説明
( ) :関係が作用する範囲。独立に存在しない。つまり項としては扱えない。
< > :関係の作用が独立して存在する範囲。つまり項として扱える部分。
o :オセロ
d :デズデモナ
c :キャシオ
L :愛している
B :信じている
前注(P214、12章注釈(38))に記載の昔のラッセルの理論:
① 面識する主体と面識される対象は独立である
② 有意味な文章であるが偽であるという文章も存在する
昔のラッセルの理論を式にすると次式αとなる。
<B (o, <L(d, c)>)> ・・・α
オセロ(o)という項と、デズデモナ(d)がキャシオ(c)を愛している(L)という項を信じている(B)が繋いでいる。<L(d, c)>が偽(本当は存在しない)であるなら、式α全体は偽を信じているオセロを表すという理屈だ。
一方で、本章で提示されている理論(四項に信じているが関係している)は次式βとなる。
<B (o, L, d, c)> ・・・β
ここで仮に、<L(d, c)> (デズデモナはキャシオを愛している)という命題を持ってくるとするならば、それは信念の外部から来ることになる。よって、その外部の命題<L(d, c)>が偽であれば<B (o, L, d, c)>は偽であるし、L(d, c)>が真であれば<B (o, L, d, c)>も真となる。つまり、真理は常に信念の外部の項との関係によって決まる。
真偽の決め方として、式αは信念の内部に真偽の材料があり、式βは信念の外部に真偽の材料があるという違いを示しているものと思われる。式βをもとにした方が、四項の様々な組み合わせに対応が可能であり、更には四項が個別に持つ要素を追加したとして複雑化しても、命題の真偽は信念の外部であることには変わりがないことが言える。
ぷっは~~!
参考1 哲学入門 バートランド・ラッセル著、高村夏輝訳、ちくま学芸文庫、2018年、第二十刷
参考2 http://www.gutenberg.org/files/5827/5827-h/5827-h.htm