作文練習

何か書くと楽しい、かもしれない。

<あいだ>を開く レンマの地平 (読書感想文)

 本書は有名な「AはAではない。それゆえにAはAである。」という般若の思想から展開された、「Aでもなく且つ非Aでもない」と「Aであり且つ非Aである」というレンマと呼ばれる論理を軸に話が進んでいく。理解が難しい。著者は二項対立の限界を示すと同時に、二項対立の枠組みを使って二項対立の外の世界を説明しようとする。これは可能なのだろうか。

 

 ネットで検索してみると、この論理を扱った論理学の論文が幾つかヒットしたので、その試みは可能なのかもしれない。しかし、私にはその論文を読む素養が無いのでお手上げである。


 本書は主に山内得立氏の業績を元に構成されている。随所に氏の文章が引用されており、それらを読む限り二項対立を用いた論旨の展開は少ない。もしかすると、当たり前の話になってしまうが、山内得立氏の仕事を理解するには直接読んだ方が良いのかもしれない。


 結局は「まず山内得立、龍樹の中論、ベルクソン西田幾多郎を読め。話はそれからだ」ということなのだろう。2,3回読んだだけでは著者の足元にさえ近づけなかった。地道に勉強しなければならない。

 

<あいだ>を開く -レンマの地平 木岡伸夫著 世界思想社 2014年