漫画解説を夢見て

　漫画を成立させているのは絵とストーリーだ。しかしもう一つ、極めて重要なものがある。それは見せ方である。昔コミケに行った時、出店している素人、といってもセミプロだが、彼等の描く一枚絵の上手さと、上手い人の数の多さには心底驚いた。

　しかし製本した漫画となると実力はばらばらで、どんなに絵が上手でも漫画としての魅力に欠けるものが混じっていた。この差は絵でもストーリーでもなく、見せ方による差なのだろう。それが具体的に何なのか、私には良く分かっていない。

　漫画の解説本は数多く出版されているが、見せ方を解説するものはほぼ無い。ほとんどがストーリーと作品背景と漫画家とそれらの歴史の解説である。たまに絵の説明もあるが、記号的な知識を提供してくれるだけで漫画の面白さを直接解説するものは少ない。

　私は絵とコマ割り、即ち目で見えるものだけから面白さを解説してくれるものを探している。

　私自身何度か読書会みたいな場所で面白さの説明を試みたことはあるのだが、所詮は絵も描けない素人なので限界がある。

　私の夢はいつか原作のワンパンマンの面白さを、ストーリーではなく見せ方から解説できるようになることだ。原作のワンパンマン、絵は手抜きだが漫画は信じられないくらい面白い。見せ方における一つの究極である。