作文練習

何か書くと楽しい、かもしれない。

死に至る病を読む(5)

キェルケゴール死に至る病の第一章を4ページだけ読むシリーズです。超遅読です。今回も岩波文庫(参考1)を理解するため英文(参考2)を参考に読んでいきたいと思います。

 

さて自己自身に関係するところの関係が他者によって措定されたものである場合、無論その関係が第三者なのではあるが、しかしその関係すなわち第三者は更にまたその全関係を措定したところのものに関係するところの関係でもある。」(参考1 P23より引用)

 

If this relation which relates itself to its own self is constituted by another, the relation doubtless is the third term,

(拙訳)もしも関係そのものが自己自身に関連するという関係が他のものによって措定されるなら、その関係は疑いもなく第3項です

(解説)

難しくて解釈が変かもしれませんが、頑張ってみます。

当ブログ「死に至る病を読む(3)」で登場した太郎叔父さんの例で説明します。太郎叔父さんは、会ったこともない叔父さんではなく、僕が大好きな太郎叔父さんです。僕が大好きな太郎叔父さんという関係(第3項)は僕の自己ですが、太郎叔父さんが親戚であることやお年玉をくれたり遊んでくれたりすることは僕が決めたものではありません。Doubtlessと強い表現を使う理由はよくわかりませんが、「人は関係を形成するものと、その関係が自己自身を揺さぶる部分を混同しがちだ」ということかもしれません。「自分以外のものが決めてしまったどうしようもないものと、その関係が自分を揺さぶることについては明確に区別せよ」ということかもしれません。

 

but this relation (the third term) is in turn a relation relating itself to that which constituted the whole relation.

(拙訳)しかし、この関係(第3項)は、順次、関係それ自体が全部の関係を措定することに関連づけている関係なのです。

(解説)

自分以外のものが決めた関係をもとに順次拡張される全関係(the whole relation)もまた、自分以外のものが決めた関係だと言っています。前文の内容を前提に論理を展開していると言えます。

 そうであれば、よく分からないのはbutです。論理を展開するのであれば「従って」や「すると」でも良さそうですが、なぜかbutです。なぜbutなのかを考えてみましたが、残念ながら分かりませんでした。

 

続く。

 

参考1 死に至る病キェルケゴール著、斎藤信治訳、岩波文庫、第108刷

参考2 https://antilogicalism.com/wpcontent/uploads/2017/07/thesicknessuntodeath.pdf