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哲学入門(バートランド・ラッセル著)12章 メモ(5)

 ラッセルの哲学入門(参考1)12章「真と偽」の、抜粋と読書メモの続きです。

 

P148、11行~P149、5行
(3)  いま述べたこと(信念が存在しなければ真偽は存在しない)とは反対に、信念の真偽は信念そのものの外にあるものに依存する。
 「チャールズ一世は断頭台で死んだ」と信じるならその信念は正しい。しかしその正しさは信念だけを調べても分からない。「チャールズ一世はベッドの中で死んだ」がどれだけ鮮やかな信念であろうと、信念となった経緯を考慮しようと、それは偽である。
 なぜなら、それははるか昔に起きたことであり、信念の持つ性質とは異なるからである。
 したがって、真偽は信念の性質であるものの、信念とそれ以外のものとの関係に依存し、さらには信念がそれ自体として持つ性質にはまったく依存しない。


<読書メモ>
 今回は三つの条件のうちの三番目である。本章はこの後、この三番目の内容について詳しい説明が行われる。最も重要で理解されにくい部分なのだろう。
 今回の難しい箇所は、「真偽は信念の性質である」と「真偽は信念それ自体として持つ性質には依存しない」が両立している部分である。「信念の性質」と「信念それ自体として持つ性質」は同じ文章内にあり、どう違うのかはこの日本語だけを読んでも分からない。
 そこで英文ではどう表現されているのかを見てみた。
  ・信念の性質 properties of beliefs
  ・信念それ自体が持つ性質 internal quality of the beliefs
properties of beliefsを直訳すると「信念の特性」であり、internal quality of the beliefsは「信念の内部の性質」となる。言ってみればPropertyとQualityの違いなのだが、これでもまだ私には違いが理解できない。
 後の記述で明らかにされることを期待しよう。


参考1 哲学入門 バートランド・ラッセル著、高村夏輝訳、ちくま学芸文庫、2018年、第二十刷
参考2 http://www.gutenberg.org/files/5827/5827-h/5827-h.htm