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哲学入門(バートランド・ラッセル著)12章 メモ(4)

 ラッセルの哲学入門(参考1)12章「真と偽」の、抜粋と読書メモの続きです。

 

P148、4行~10行
(2)  信念が存在しなければ虚偽は存在しない。真は偽と相関的だとすると、虚偽が存在しなければ真も存在しない。
 ただ物質(事象)だけからなる世界には真偽はない。そこには「事実」は存在しても、(判断と呼ばれるものによって成立するものとしての、結果的に虚偽でもあり得る)「真理」は存在しない。
 真偽は信念または言明の性質だ。それゆえ物質だけからなる世界には真偽は含まれない。

 

<読書メモ>
・真 truth
・虚偽 falsehood
・ただ物質だけからなる世界 world of mere matter
・事実 facts
・信念 beliefs
・言明 statements

 

 今回は三つの条件のうちの二番目だ。
 ここでは、真偽は事実とは別の性質のものだとしている。ただ存在しているだけの物質は真でも偽でもない。おそらくそこに時間の概念が入って運動や変化を伴う現象(事象)があるとしても、それもまた真でも偽でもないのだろう。
 もう一つ大事なことは、真偽は信念の性質でもあるが、言明の性質でもあるとしていることだ。私たちの身の回りから宇宙の果てに至るまで世界は事象で満ちているが、そこに真偽を持ち込むためには事象を言葉にして伝えることが必要だということだろうか。

 

参考1 哲学入門 バートランド・ラッセル著、高村夏輝訳、ちくま学芸文庫、2018年、第二十刷
参考2 http://www.gutenberg.org/files/5827/5827-h/5827-h.htm