作文練習

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哲学入門(バートランド・ラッセル著)11章 メモ(2)

ラッセルの哲学入門(参考1)11章の抜粋と読書メモの続きです。

 

P138、1行~P139、16行
 しかし、一般的知識のうち証明不可能なものだけが自明なわけではない。論理的原理をいくつか認めれば、残りの論理的原理はそこから演繹できる。しかし、演繹される命題はしばしば、証明抜きで受け入れられる命題とほとんど同じくらい自明である。さらに、論理学の一般的原理から算術の全体を演繹できるが、「2+2=4」のような単純な算術命題の自明性は、論理学の原理に匹敵する。
<読書メモ>
 この文章は抜粋や要約ができないくらい密度が高い。今回は英文を機械翻訳してみて、高村先生の翻訳と比べてみた。
 Self-evidence, however, is not confined to those among general principles which are incapable of proof. When a certain number of logical principles have been admitted, the rest can be deduced from them; but the propositions deduced are often just as self-evident as those that were assumed without proof. All arithmetic, moreover, can be deduced from the general principles of logic, yet the simple propositions of arithmetic, such as 'two and two are four', are just as self-evident as the principles of logic.
機械翻訳
 「ただし、自己証拠は、証明できない一般原則の中にあるものに限定されません。 一定数の論理原理が認められたら、残りはそれらから推測することができます。 しかし、推論された命題は、多くの場合、証拠なしで仮定されたものと同じように自明です。 さらに、すべての算術は論理の一般原則から推測できますが、「2と2は4である」などの単純な算術の命題は、論理の原則と同じように自明です。」

 

 高村先生の翻訳はぎゅっと締まっていて格調が高い。

 

 ここで「証明抜きで受け入れられる命題(証拠なしで仮定されたもの)」とは、例えば本書P114の「これまで誰も考えていない、且つこれからも誰も考えることのない二つの整数の積はいずれも81を超える」という算術命題のことだ。
 自明であるものは、証明できないものと、演繹(推測)されたものの二つがあるという。特に算術は演繹されたものの自明性が論理学の原則と同じくらい自明なものがある。

 誤謬を語る前に、自明とは何かをはっきりさせようという記述だと思われる。そして、同じ自明であることの中にも由来が異なるものがあるということが、誤謬の理解のために必要なのだろう。


参考1 哲学入門 バートランド・ラッセル著、高村夏輝訳、ちくま学芸文庫、2018年、第二十刷
参考2 http://www.gutenberg.org/files/5827/5827-h/5827-h.htm