死に至る病を読む(6)
キェルケゴールの死に至る病の第一章を4ページだけ読むシリーズです。今回も飽きずに岩波文庫(参考1)を理解するため英文(参考2)を参考に読んでいきたいと思います。
拙訳はもう何が何だか分かりませんが、少なくとも一回は直訳してみないと私の理解が進まないので続けたいと思います。
まずは岩波訳から。
「かかる派生的な措定された関係がすなわち人間の自己なのである、――それは自己自身に関係するとともにかかる自己自身への関係において同様に他者に対して関係するところの関係である。」(参考1 P23から引用)
Such a derived, constituted, relation is the human self,
(拙訳)このように派生した、措定された関係が人間の自己です。
(解説)今迄のまとめの文章です。主語の relationに対し、一つ目の術語がhuman self。以下、2つ目の術語が並びます。
a relation which relates itself to its own self,
(拙訳)(このように派生した、措定された関係は)関係それ自体が自己自身に関連するところの関係です。
(解説)自分を強く揺さぶってくる関係、大好きな太郎叔父さんとか、気になる他人の評価とかそういうものが自己になると例えることができます。
and in relating itself to its own self relates itself to another.
(拙訳)そして(このように派生した、措定された関係は)関係それ自体が自己自身に関連する中で、関係それ自身は他のものに(も同時に)関連します。
(解説)「他のもの、即ち自分以外のものが措定した関係は、同時に自分以外のことにも関連する」という論旨は初めて出てきましたが、他のものが自己を措定するならまあそりゃ当然だよなと思います。これほどまでに念入りに説明する理由はよくわかりませんが、後半のネタ振りか何かでしょうか。
さて次回からいよいよ絶望が出てきます。
続く。
参考1 死に至る病、キェルケゴール著、斎藤信治訳、岩波文庫、第108刷
参考2 https://antilogicalism.com/wpcontent/uploads/2017/07/thesicknessuntodeath.pdf