作文練習

何か書くと楽しい、かもしれない。

怖い話が大好きなのです

角川文庫の「新耳袋」(木原浩勝、中山市朗著)はとても良い。短い怪奇談が99話納めれらているが、そのほとんどの話は「不思議なことがあった」で終わっている。原因があまり書かれていないし、ひどい目にあった話も少ない。それが良い。

 

世の中の怪談は原因を語りすぎる。怪異を昔の不幸のせいにするのは常套手段なのだろうけれど、そんな因果関係は誰にも分かりっこない。不思議は不思議のままでいい。

 

それから、世の中の怪談は暴力を語りすぎる。弱者の最後の報復手段として怪異に助けを借りることはあるだろう。それを否定するつもりはない。しかし、目が合っただけで呪われて病気や怪我や死に至るなど、ただの不条理な暴力と変わりが無いではないか。怪異が怖いのか、それとも暴力が怖いのか、よく分からなくなってしまう。

 

私は怖い話が大好きだ。でも、原因や暴力で怖さの純度を下げて欲しくはないのだ。