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哲学入門(バートランド・ラッセル著)14章 メモ(4)

ラッセルの哲学入門(参考1)14章「哲学的知識の限界」の、抜粋と読書メモです。


P177、10行~P178、2行

 以上のことにより、ヘーゲルの説である宇宙全体の調和的体系は証明できない 。


 そうなると、空間や時間や物質や悪が存在しないということも証明できない 。なぜならヘーゲルはそれらが断片的で関係的な特徴を持つことから演繹したからだ。(証明するためには)私たちは宇宙の全存在をすべて調べねばならない。すると、私たちの経験できないことの特徴を知ることができない。


 哲学体系により全世界の調和を望む人は、この結果に失望するだろう。しかし本書でまとめてきた通り、これは現代の帰納的で科学的な気質と調和する。

 

 

<読書メモ>
 なるほど。ラッセルによると、ヘーゲルは空間や時間や物質や悪が存在しないと言っていたのか。

 

 


P178、2行~P179、5行
 形而上学者たちの多くは、世界の諸特徴が自己矛盾であるため実在的ではないことを証明しようとしてきた。しかし現代思想は、幻想なのは矛盾があると考えたことの方であり、何が存在しなければならないかを考察することでアプリオリに証明できることは殆どないとしている。


 時間と空間はその好例である。どちらも無限に広がり、無限に分割可能のように見える。時間と空間の始点と終点のその向こうに何もない状態というのは考えにくいし、分割できない空間や時間も考えにくい。


しかし、哲学者はこうした事実に反対し、「ものの無限の集まりは存在せず、(空間と時間の)二点間の分割は有限でなければならない」という議論を進め、時間と空間の本質と、ものの無限の集まりは不可能だという想定の間に矛盾が生じた。

 

 

<読書メモ>
 なるほど。ラッセルによると、多くの哲学者が時間と空間を考える時、無限を含むことは無いとしたのか。確かに「時間と空間の本質は無限だ」と「無限そのものが無い」は両立しないので、「時間と空間は無い」という結論に達したのも理解できる。


 但し私は、前提となる命題がどのレベルで真なのかについては理解しなければならないだろう。

 


参考1 哲学入門 バートランド・ラッセル著、高村夏輝訳、ちくま学芸文庫、2018年、第二十刷
参考2 http://www.gutenberg.org/files/5827/5827-h/5827-h.htm