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哲学入門(バートランド・ラッセル著)12章 メモ(12)

 ラッセルの哲学入門(参考1)12章「真と偽」の、抜粋と読書メモの続きです。

 

P153、3行~14行
 関係が成立するのは二つの項の間だけではなく、三つの項や四つの項、あるいはそれ以上の項を必要とするものもある。例えば「間にある」という関係においては、三つの項が必要であり、例えば「ヨークはロンドンとエディンバラの間にある」という(位置)関係だ。
 同様に嫉妬は三人の人が必要で、更には「BがCにDとの結婚を勧めて欲しいとAは思った」という命題には四つの項を含み、AからDまでの四人全員を含む形でなければ成立しない。

 

<読書メモ>
 項:term(s)
 ここは素直の読めたので特にメモはない。

 

 

 

P153、15行~P154、4行
 偽の命題を私たちが判断するとき、あるいは信じるとき、そこには三つ以上の項の間に成り立つ関係が含まれている。
 「デズデモナはキャシオを愛している」とオセロが信じるとき、「デズデモナのキャシオに対する愛」や「デズデモナがキャシオを愛するということ」といった単一の対象はオセロの心の前にあってはならない。
 なぜなら偽の場合にもその対象があり、それはいかなる心からも独立に存在しなければならないからだ。

 

<読書メモ>
 真理の命題は必ず三つ以上の項から成る、というのはおそらく“AはBである”ことを判断するCという主体が必要だからだろう。

 

 続く部分がちょっと難しいので言い換えてみる。
 「オセロがたとえデズデモナの不倫を信じていたとしても、オセロの心の前には単一の対象[=デズデモナのキャシオに対する愛]は存在しない。デズデモナの不倫は偽であるため、オセロの心の前にデズデモナの不倫の愛は存在することはない。」

 

 次が大事なポイントだ。
 「オセロの心から独立して、デズデモナの不倫の愛は存在しない」


 つまり、真理の偽は、オセロの心が作り出したものであり、オセロの中にだけあるものでオセロの心がその存在を面識したものではない。そうすると、真理が真であろうと偽であろうと、その判定はどうしても信念より外の何かとの関係、すなわちオセロが信念以外の外部の対象を面識することによって為されるしかないと言える。

 


参考1 哲学入門 バートランド・ラッセル著、高村夏輝訳、ちくま学芸文庫、2018年、第二十刷
参考2 http://www.gutenberg.org/files/5827/5827-h/5827-h.htm