作文練習

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哲学入門(バートランド・ラッセル著)9章 メモ(9)

 ラッセルの哲学入門(参考1)9章の抜粋と読書メモの続きです。このへんは英文(参考2)も参考にしています。勿論翻訳者の高村先生の翻訳の方が多くの意味を網羅していて正確な日本語だと思いますが、哲学初心者の私にとっては難易度が高く、英文を見てちくま学芸文庫の本書を見てを繰り返さなければ理解が追い付かないのです。

 

P122、15行~P123、10行
 普遍は特殊な仕方で存在するので、普遍は心的なものだと多くの人は考える。私たちは普遍について考えることができるが、その際の思考は他の心的なものと同じく普通の意味で存在している。
 「白さは心の中にある」ということにもひとつの意味があるが、4章でバークリーを論じた時と同じ多義性がある。厳密に言うなら心の中にあるのは白さではなく、それについて考えるはたらきである。
 観念が思考のはたらきの対象を表示するならば、白さは観念だ。
 もしあいまいさが防がれていないとすれば、白さを別の意味の観念すなわち思考の行為だという考えに至り、白さは心的だと考えてしまう。
 後者の場合、私たちは白さから普遍の本来の質(essential quality)を奪ってしまう。
<読書メモ>
 4章のバークリーと観念の部分をおさらいしてみる。参考1のP50~51を参照したい。4章では机や人の行動を認識し思い浮かべる時に、そのものが心の中にあるのか無いのかを論じた。ラッセルは一貫して外的な事実と心の中で考えることは分けるべきだと述べている。
 私たちが意識するもの(白さ)と私たちの意識そのもの(白さを白さととらえる心ははたらき)の両方が観念という言葉で表されるため、そこに混同が生じているというのだ。その混同が原因で、バークリーはこの世にある物はすべてが心のはたらきだとしたと、ラッセルはバークリーに反論している。


参考1 哲学入門 バートランド・ラッセル著、高村夏輝訳、ちくま学芸文庫、2018年、第二十刷
参考2 http://www.gutenberg.org/files/5827/5827-h/5827-h.htm