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哲学入門(バートランド・ラッセル著)9章 メモ(4)

ラッセルの哲学入門(参考1)9章の抜粋と読書メモの続きです。

 

P117、8行~P118、11行
 哲学者の多くは名詞や形容詞に普遍を認めはしたものの、動詞や前置詞の普遍は見逃しがちだった。これは、スピノザ以来大半の形而上学に良くない影響を与えた。
 形容詞と一般名は単一のものの質あるいは性質を表現するが、前置詞や動詞は関係を表現する。ここから導かれることは、「すべての命題は関係ではなく単一のものに関する」、即ち「宇宙には一つのものしか存在しない」あるいは「二つ以上のものがあっても関係することはない」という考え方である。
 「宇宙には一つのものしか存在しない」という見解は一元論と呼ばれ、スピノザやブラッドリーにより支持されている。
 「二つ以上のものがあっても関係することはない」という見解はモナド論と呼ばれライプニッツが提唱した。ちなみに「モナド」とは互いに独立して影響しあわないもののことである。
 どちらの見解も、名詞や形容詞が表す普遍に注目し過ぎたために生み出されたものだ。


<読書メモ>
 この辺りは、なるほどなるほど、と読み進めた個所である。一元論についてはおそらくこの限りではないだろうから、別の機会に読んでみなければならない。
 私が本書を面白いと感じる部分は、ラッセルが哲学の教科書を作りたいわけではないという点だ。ラッセルにはラッセルの緻密な自説があり、それを哲学諸説に照らして浮かび上がらせようとしている。
 哲学解説書の中には単なる用語の紹介や、込み入った部分になると他で勉強してから来いという感じを受けるものもある。そのような説明する気の無い解説からは迫力は感じられない。
 それに対して本書は読めば分かるように書いてあるような気がする。そこに迫力を感じるのだ。

 

参考1 哲学入門 バートランド・ラッセル著、高村夏輝訳、ちくま学芸文庫、2018年、第二十刷
参考2 http://www.gutenberg.org/files/5827/5827-h/5827-h.htm