作文練習

何か書くと楽しい、かもしれない。

哲学入門(バートランド・ラッセル著)9章 メモ(6)

ラッセルの哲学入門(参考1)9章の抜粋と読書メモの続きです。ぼちぼち本章の核心に入って行きます。

 

P119、8行~12行
 たとえばすべての三角形について何かの証明をする時には、三角形を一つ描き、それが他の三角形と共有しない特徴をまったく使わないように注意しながら論証する。できるだけ似ていない三角形について証明を行うと、すべての三角形にあてはまることが確かめられる。
<読書メモ>
 幾何学ってそうだっけ?と思わなくもないが、ここは前回の「白さ」について考えた時と同じ心理的過程だと解釈した。

 

P119、12行~P200、7行
 しかし白いことや三角形であることが分かるのはどのようにしてか、ということを問題にすると困難が生じる。
 何故なら「白さ」や「三角形性」という普遍を避けようとすると、白い個物(や一つの三角形)を選んで白いもの(三角形)とは、これと正しく類似しているもののことだと言わねばならない。
 この方法は「白さ」や「三角形性」という普遍を認めずに済むが、新たに類似性という普遍が必要となる。白い個物はいくつもあるが、類似性で白さという概念を定義しようとすれば、任意のペアでその類似性が成立しなければならない。「各々のペアの類似性は各々で異なる」という反論も無駄だ。それらの類似性は互いに類似しなければならないからだ。
 (従って、少なくとも)類似性という関係は普遍でなければならない。
<読書メモ>
 「名詞や形容詞の普遍を証明するのは不可能だが動詞や前置詞の持つ関係の普遍は証明できる」(参考1 P118、12行)という部分に関する説明である。「名詞や形容詞の普遍を証明するのは不可能」ということは完全には説明されていないものの、関係が普遍だと言えることがよく説明されている。
 徐々にラッセル哲学の芯に迫っていると感じる。

 

P200、7行~15行
 バークリーやヒュームは「抽象概念」(普遍)を拒否したが、前述の反論には気付かなかった。その理由は彼らが性質だけに着目し、関係を無視したことによるものだ。(不幸にも)彼らの論敵も同様に関係を無視したため反論に失敗しており、そのせいで「抽象概念」(普遍)の拒否が正しかったと信じられる理由の一つを作ってしまったのである。
<読書メモ>
 私はバークリーもヒュームも読んだことが無いので、ラッセルの言うことが正しいかどうかは判断できない。ただ、歴史的に名を残した哲学を正面から反論する姿勢は素晴らしい。一つ間違えば袋叩きに会うだろう。また、専門家が読む論文ではなく一般人が分かるようにこういった反論を書くのはおそらく至難の技ではないかと想像する。

 

参考1 哲学入門 バートランド・ラッセル著、高村夏輝訳、ちくま学芸文庫、2018年、第二十刷
参考2 http://www.gutenberg.org/files/5827/5827-h/5827-h.htm