ちあきなおみの歌が素晴らしいことを知ったのは残念ながら彼女の引退の後だった。彼女はお芝居の人だ。たまにやる特集番組か動画配信の中でしか見たことはないが、凄まじいテクニックはすべて歌の中のお芝居に注がれたに違いない。
矢切の渡しでは若い男女と語り部の三人の声色が使い分けられ、黙って船漕ぐ船頭さえ目に浮かぶ。カバー曲、夜霧よ今夜も有難うでしのびあう恋の意味を知り、黄昏のビギンでビブラートは美しいことを教えられ、動画配信で見つけたカバー曲、酒と泪と男と女にはただただ驚かされた。朝日楼は言うまでもないだろう。
もう少しだけ活躍していて欲しかったなあ。