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哲学入門(バートランド・ラッセル著)14章 メモ(8)

 ラッセルの哲学入門(参考1)14章「哲学的知識の限界」の、抜粋と読書メモです。多分、時間が経った後読み返すと意味がわからないことを書いているのだろうと思いつつ、書いています。

 


P181、16行~P182、6行
 重力法則の原理は、帰納原理のような純粋にアプリオリな原理と経験との組み合わせで証明されるか、蓋然性が高められる。


 従って直観的知識には二種類あり、これら以外のすべての真理の知識はこの二種類から生み出される。二種類とは、
(1)    面識している個物が存在し、何等かの性質を持つことを教える純粋な経験的知識
(2)    個物の事実から推論できる普遍間のつながりを教える純粋なアプリオリな知識
である。


 派生的な知識は、必ず純粋なアプリオリな知識に基づき、同時に純粋に経験的な知識にも依存する。

 

 

<読書メモ>
 数学を理解されている方にとっては、重力と言えば一般相対性理論だ、という専門的な説明のやり方があると想像されるが、私は、中学か高校の物理で習ったことを例えにして重力法則を理解したいと思う。

 

 同じ物体を持った時に感じる重さは、高いところで持っても、低いところで持っても、日を変えて持ってもだいたい同じだと感じられる。これが経験的知識だと思われる。この経験的知識は、重力というものが私たちの生活圏内であれば場所や時間によって変わらないことを教えてくれる。

 

 次に、アプリオリな知識について説明する。重力が空中にある物体を同じ力で下に引っ張ることを数学的に確かめる実験として、落下する物体の時間ごとの距離を測定するというものがある。教科書ではストロボ写真で載っていた。


 ここで測定されるのは時間と距離の関係だ。ある瞬間における物体の落下速度は、その近傍の単位時間あたりの移動距離によって示される。速度は[距離]÷[時間]で示される。距離を時間で微分した結果が速度だ。次に、各点の速度を時間ごとに並べ、速度の変化率を調べてみる。速度をもう一度時間で微分すると加速度になる。驚くべきことに、加速度はどの点でも一定なのだ。即ち、経験においては、同じ重さのものは同じように重く感じられるという感覚を、アプリオリな知識、数学的には微分という知識で説明できるのだ。


 つまり、前述の(1)における「経験」と(2)におけるアプリオリな知識の融合により、「派生的な識は、必ず純粋なアプリオリな知識に基づき、同時に純粋に経験的な知識にも依存する。」ということが説明できる。

 

 


参考1 哲学入門 バートランド・ラッセル著、高村夏輝訳、ちくま学芸文庫、2018年、第二十刷
参考2 http://www.gutenberg.org/files/5827/5827-h/5827-h.htm