哲学入門(バートランド・ラッセル著)12章 メモ(18) 12章完了
ラッセルの哲学入門(参考1)12章「真と偽」の、抜粋と読書メモの続きです。今回で12章は完了です。
P158、4行~P159、16行
信念に関連した複合物に信念が対応するとき、信念は真である。そうでないときは偽である。これが真偽の定義となる。
(繰り返して言う。)「判断する」、「信念を持つ」とは、心を一つの要素とする複合的な統一体があるということだ。心以外の構成要素が、信念の中と同じ順序で複合物を作るならその信念は真であり、そうでなければ偽である。(これが真偽の定義となる。)
真偽は信念の性質であるが、それは信念の外にある。心がある信念を持ち、それが正しい(真である)ときは、心を含まない対象(と関係から)から成る複合体があり、それと信念が対応しているときである。
以上のことから次の二点が説明できる。
- (a)信念が存在するためには、信念は心に依存する
- (b)信念が真であるためには、信念は心に依存しない
用語として、以下の定義を行う。
対象項: 例えば「デズデモナ」や「キャシオ」
対象関係: 例えば「愛している」
信念の対応事実: 例えば「デズデモナはキャシオを愛している」
これらの用語を用いて真偽を定義すると、
真・・・信念に対応事実が存在する
偽・・・信念に対応事実が存在しない
心は信念を生み出すが、真偽は生み出さない。
ただし「列車に間に合おう」といった未来の(不確定の)出来事に対する信念(のようなもの)は特殊な例として真偽に心を含むかもしれない。
次章は信念の真偽を知る方法について考察する。
<読書メモ>
最初読んだ時はくどいと感じたが、よく読んでみると前述の内容と同じことを繰り返し述べながら、ラッセルは少しずつ抽象度の高い表現に置き換えていっている。いきなり「心は信念を生み出すが、真偽は生み出さない」、「信念に対応事実が存在するならば真だ」などと言われても混乱するだけだが、少しずつ定義を進めて行けばなんとか理解できる。
こういう論旨の展開なのかと納得である。分かるように教えるにはこの方法しかないのかもしれない。
参考1 哲学入門 バートランド・ラッセル著、高村夏輝訳、ちくま学芸文庫、2018年、第二十刷