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哲学入門(バートランド・ラッセル著)10章 メモ(5)

 ラッセルの哲学入門(参考1)10章の抜粋と読書メモの続きです。

 

P133、5行~P134、12行
 アプリオリな一般命題には対照的な二つの点がある。
 一つは「たくさんの個別事例から帰納によってアプリオリな一般命題に到達し、後で普遍間の結びつきが知覚される」もの。
 もう一つは「事例を一つも知らなくても(アプリオリな)一般命題を知ることがある」というもの。
 後者の例を挙げると、「これまで誰も考えず、これからも考えない二つの整数は、その積が81を超える」という命題だ。この命題の正しさを否定することは出来ないが、この命題の意味によって私たちは事例を手にすることは決してない。
 後者のような一般命題を知る可能性がしばしば否定されるのは、こうした命題を知るのに必要なのは普遍間の関係であり個別事例の知識は不要だということが見逃されるためだ。
<読書メモ>
 いよいよカントの言う「物自体」に近い説明がはじまる。ラッセル流の形而上学は後者の「アプリオリな一般命題」の解釈から成ると思う。


参考1 哲学入門 バートランド・ラッセル著、高村夏輝訳、ちくま学芸文庫、2018年、第二十刷
参考2 http://www.gutenberg.org/files/5827/5827-h/5827-h.htm