作文練習

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哲学入門(バートランド・ラッセル著)10章 メモ(3)

 ラッセルの哲学入門(参考1)10章の抜粋と読書メモの続きです。昨日の記事10章メモ(2)の解釈が間違っていたらしいことが分かりました。ちっくしょーーー。

 

P129、14行~16行
 命題が扱っているものは「どのような対象を面識していなければならないか」を問うことで発見できる。命題の真偽は分からなくても意味が分かるとすれば、その命題に含まれる対象を面識しているはずだ。この問いを使えば、一見個物に関すると思われた命題が普遍間の関係を扱っていることが見えてくる。
 2+2=4を「二つのものを二つ集めれば、どういう集め方をしても四つのものの集まりになる」と理解したとしよう。この命題を理解できることは明らかだ。(なぜ理解できるかというと)「集まり」と「二」と「四」が意味するものを知れば、その命題の主張が理解でき、(且つ)二つのものすべてを知る必要はない。(なぜ二つのもすべてを知る必要がないのかというと)、二つのものをすべて知ることはあり得ないし、あり得ないとすればその命題を理解することは出来なくなるからだ。(従って理解できるということは二つのものすべてを知る必要はないということが示されたということだ)
 故に、二つのものの個別事例が存在することが知られたならば、
その知識と一般言明からただちにそれらの例に関する命題が含意されるとしても、
一般言明そのものは個別事例があるということを主張しないし、含意もしない。
 個別事例について一般言明は何も語らない。
<読書メモ>
 私が昨日の記事10章メモ(2)で「性質に言及しているから問題なし」、とした例文の方が問題を含むかもしれない例として挙げられていた。なんてこった。私はまだまだ読みが浅いのか。


 最後から二つ目の文章が分かり難いので英文(参考2)を参照する。
Thus although our general statement implies statements about particular couples, as soon as we know that there are such particular couples, yet it does not itself assert or imply that there are such particular couples, and thus fails to make any statement whatever about any actual particular couple.

 

長いので区切って訳すと、
Thus(従って)
as soon as we know that there are such particular couples,(私たちがそのような個別の二つのものを知るやいなや、)
although our general statement implies statements about particular couples,(我々の一般的言明は個別の二つのものの言明を暗示するのだが、)
yet it does not itself assert or imply that there are such particular couples,(まだ一般的言明自身はそのような個別の二つのものがあることを主張したり暗示したりしない)
and thus fails to make any statement whatever about any actual particular couple.(従って、一般的言明は実際のどんな個別の二つのもについても言明することができない)

 

 個別の具体例が一般的な性質を暗示することはあっても、一般的な性質から個別の具体例が導き出されることはない、という意味だろう。
 蛙亭Dr.ハインリッヒが集まると四人になるという個別の例から「二人組のお笑いコンビが二つ集まると四人になる」という命題は言えるけれど、「二人組のお笑いコンビが二つ集まると四人になる」という命題からは蛙亭Dr.ハインリッヒを特定することはできないという意味だろう。余計分かり難いか。

 


参考1 哲学入門 バートランド・ラッセル著、高村夏輝訳、ちくま学芸文庫、2018年、第二十刷
参考2 http://www.gutenberg.org/files/5827/5827-h/5827-h.htm