作文練習

何か書くと楽しい、かもしれない。

人と自分を比べること

 南直哉氏が言っておられたが、お金と名誉を手にした人が次に欲しいのは由緒正しき血筋であり、その次に欲しいのはその人の物語だそうだ。人間の欲はきりがない。

 

 その欲はすべて、自分と他人を比べ自分が自分である根拠を欲するところから来ている。折角だったら他人から尊敬されるくらい自分が優位な方が良い。

 

 しかし、他者と比べて自分が自分であるという根拠さえあれば、社会的強者である必要はない。限りなく弱くても良く、悪を為す者であっても良い。世界に一つだけの花という例えさえも他者と自己の認識の違いを歌うものだ。

 

 「人と自分を比べてはいけません」と言われてその時は納得するのだが、そんなものは端から無理な話なのだ。もし、自分自身が何も無かったとしても、自分と他人の境界だけは何故か見えてしまう。人と比べてしまう自分を横目で見ながら、嫌だなと思いながら、それも自分だと思って生きていく以外に方法はない。