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何か書くと楽しい、かもしれない。

哲学入門(バートランド・ラッセル著)7章 メモ(1)

哲学入門(バートランド・ラッセル著)7章 メモ(1)

 

 本記事はブログとは呼べない私的メモになりました。

 

 ラッセルの哲学入門(参考1)ですが、課題となる7・8章が難しいので予習しております。カント哲学との差異の議論は特に難しいです。カントが難しいから仕方が無いのです。

 要約と言うにはおこがましいですが、順を追って抜粋し、そのまま引用した部分は鍵括弧をつけて斜字にしています。 ()の英文(参考2)は私が追加しました。

 

<要約>

 

「第7章 一般原理の知識について」

正誤は証明できないが経験をもとに論証を行う原理(principle)は帰納法以外にもある。その原理を用いる時は、感覚されたものが正しいことと、その論証の原理が正しいことの二つが必要となる。(参考1 P87の要約)

その推論の原理はあまりにも自明なので目に入らないことが多い。しかし知識の理論が正しいとするためには、その推論の原理を使っていることを明確にすることが重要だ。

 一般的原理の事態は次の様に進行する。1)個別事例の認識、2)事例の個別性が無いことの認識、3)一般性の認識、4)その一般性の肯定。例として「2+2=4」、「昨日が15日であれば今日は16日」が挙げられる。(参考1 P88の要約)

 『「真なる命題によって含意されることは、すべて真である」または「真なる命題からどのようなことが帰結しようと、それは真である」』(参考1 P89 8~10行から引用)

この原理はすべての論証に含まれる。(参考1 P89  11~16行)

 「この原理は、感覚の対象からはどうやっても得られない、疑いようのない知識が手に入ることもありうるということを示している」(参考1 P90  1~2行)

 この原理は論理的原理の一つである。他にも幾つかある。次の三つを伝統的な思考法則(laws of thought)として紹介する。

『(1) 同一律「何であろうと、あるものはある」』

    (Whatever is, is.)

『(2) 矛盾律「いかなるものも、ありかつあらぬことはありえない」』

   (Nothing can both be and not be.)

『(3) 排中律「すべてのものは、あるかあらぬかどちらかでなければならない」』

   (Everything must either be or not be.)

(参考1 P90  3~12行)

 重要なのは私たちがこの法則に従って思考することではなく、物事がこの法則と一致するということである。つまり、この法則に一致するように思考するときは正しく思考しているという事実が重要なのである。(参考1 P90 13行~P91 5行の要約)

 『論理的原理には、「与えられた前提から、別のことが確実に正しいことを推論できるようにするもの」だけでなく、「与えられた前提から、別のことが多少なりとも蓋然性を持つことを推論できるようにするもの」もある。』(参考1 P91 6~8行)

 帰納法は後者の最も重要な例である。

 

<読書メモ>

 

 知識を得るための推論は、確実に正しいか、あるいは蓋然性を持つものかということを区別せねばならないとある。帰納法は蓋然性の推論なので後者だ。

 ここまでは、推論が確実に正しいと言えるか、あるいは蓋然性を持つものかということをどう区別するのかという議論の準備である。

 “原理(principle)”の話をしているところに、“あまりよろしくない理由から”という但し書きで“律(law)”が出てくるので私は混乱したが、これも後の伏線であり準備だと言える。

 

 

 

参考1 哲学入門 バートランド・ラッセル著、高村夏輝訳、ちくま学芸文庫、第二十刷

参考2 http://www.gutenberg.org/files/5827/5827-h/5827-h.htm