死に至る病を読む(1)
ということで1章の4頁(参考1,P22~25)だけになりますが、多分一番難しいところですので頑張って読んでみようと思います。
「人間とは精神である。精神とは何であるか?精神とは自己である。自己とは何であるか?自己とは自己自身に関係するところの関係である、すなわち関係ということには関係が自己自身に関係するものなることが含まれている、――それで自己とは単なる関係ではなしに、関係が自己自身に関係するというそのことである。」(引用終わり)
無駄のない名訳だと思います。しかし、私にはハードルが高かったのでネットから拾った英文(参考2)をヒントに例えを当てはめて行きたいと思います。この英文が正確かどうかは検証していません。更には私がネット翻訳に助けを借りて日本語訳したものなので、いろいろ間違っているかもしれませんがご容赦ください。
Man is spirit. But what is spirit? Spirit is the self. But what is the self?
(拙訳)人間は精神だ。しかし精神とは何だ?精神とは自己だ。しかし自己とは何だ?
The self is a relation which relates itself to its own self,
(拙訳)自己とは関係そのものを自己自身に関係させた、その関係である。
(解説)例えば自分と関係するものとして成績や評価を例に挙げます。すると、自己とは自分への評価そのものが自分に関係してくること、即ち評価が凄く気になるということを含めて自己なんだという説明です。
or it is that in the relation [which accounts for it] that the relation relates itself to its own self;
(拙訳)あるいは、関係そのものを自己自身に関係させることが、それを説明する関係に含まれる。
(解説)どうして他人の評価が気になるの?という問いの答えを探すことも「気にする」ことに含まれています。
the self is not the relation but [consists in the fact] that the relation relates itself to its own self.
(拙訳)自己とは関係ではないが、自己とは関係そのものを自己自身に関係させる(関連付ける)という事から成り立つ。
(解説)自分への評価は自分ではないが、評価を自分に関連付ける事から自己は構成されています。
(感想)最初はとても抽象度の高い文章から始まっています。意地悪ですね。「関係」って言いたいだけやろが!と叫びそうになるのを抑えつつ一文一文読んでいきたいと思います。今回は絶望や不安という悲観的なものは出てきませんが、そのうち出てきますのでご期待ください。
続く。
参考1 死に至る病、キェルケゴール著、斎藤信治訳、岩波文庫、第108刷
参考2 https://antilogicalism.com/wpcontent/uploads/2017/07/thesicknessuntodeath.pdf